ベトナム ヘルスケア基礎情報

日本とアジア各国ではヘルスケアにまつわる法律や制度が全く違うため、ヘルストレンドアジアの記事の理解が難しい場合もあるかと思います。そこで理解を深めていただくために「各国ヘルスケア基礎情報」としてアジア各国の医療・介護等のヘルスケア基礎情報をまとめています。

こちらはベトナムのヘルスケア基礎情報です。

基礎データ

  • 人口 9,073万人  (2014年)
  • 面積 331,690㎢
  • 年齢分布

0-14 years:24.1%

15-24 years:17.22%

25~54 years:45.05%

55-64 years:7.81%

65 years:5.82%

  • 一人当たりの名目GDP 2,052.3 USD  (2014年)
  • 一人当たり総医療費(年間) 113.6 USD (2013年)
  • 病床密度 2.0床 / 1,000人 (2010年)
  • 平均寿命 76歳(男性71歳 女性:80歳)(2013年)

製薬

ベトナムの医薬品産業はまだまだ発展途上であると言って良い。2012年の医薬品売上高はGDP比で2.01%で、2017年までに年平均18%前後で成長を続けるとの予想が出ている。2022年まで2桁成長が続き、2012年の28億4,000万ドルから、2017年には64億8,000ドルに達すると予想されている(Business Monitor International, 2012)。現在200社前後の製薬会社が活動していると言われている。
医薬品の製造に関しては、投資法・一部細則に基づき100%のが医師事業が可能であるため、日本企業を含め多数の企業が進出しているが、同国は外資の製薬会社に対しての規制が厳しく、中間業者を介した販売ルートを確立しない限り製品をベトナム国内において流通させることができない。これは、同国内の流通網を守るための規則となっている。
また、医薬品の流通ネットワークは非常に複雑で、製薬会社から消費者(もしくは患者)に届くまでに4つにも及ぶ卸業者を介すことで中間コストが高くつく上、品質の管理を難しくしている。上記に加え、医薬品販売員・医師・医療施設・薬剤師の癒着も深刻で、提供価格を吊りあげる一因にもなっている。

病院

元の病院で衛生面・設備面・サービス面において高水準にあるところは非常に少ない。一方、外資の私立病院は高水準のサービスを提供しているため、富裕層や駐在員は全額自己負担で私立の医療機関・もしくは外国の医療機関を受診する。経済の中心であるホーチミン市は国内において高水準の医療サービスを提供していることもあり、近隣都市からの来院が年々増加している。
患者は中核都市に集中しており、混雑していて医療を直ぐに期待することは難しく、日本人が公的医療機関に満足しうる医療を期待することは非常に難しい。日系の医療機関も増えているが、タイやシンガポールなどの医療水準に到達しているとは言えない状況であるのが正直なところだ。
外資規制が厳しく、クリニックを開業する場合は3,000万円ほどの弁護士費用が必要。開業する場は施設も確保する必要がある。

介護

ベトナムは人口ピラミッド構造的にはまだ途上国であり、高齢社会にも突入していない平均年齢の若い国である。2033年に高齢社会に突入すると国連が試算を出しているが、現在のところ深刻な介護需要は発生していない。
急速に少子高齢化が進んでいる日本の介護市場で働く為に日本とベトナムは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)を締結し、「外国人技能実習生」としてベトナム人を誘致する取り組みを積極的に行っている。介護福祉士の候補者として平成26年・27年合計でベトナムから255人もの派遣生を受け入れた。
ベトナムからの候補者を看護師・介護福祉士として受け入れることもあり、日本の官公庁・民間企業はベトナムの視察ツアーを積極的に企画・実施している。

海外進出にあたっての環境

外資規制は厳しく、クリニックを開業する場合は3,000万円ほどの弁護士費用が必要。開業する場は施設も併せて確保する必要がある。ただし、IT・コンサルティング会社は100%の外資でも設立可能。
外国製薬会社も規制の例外ではなく、中間業者を通した販売ルートを確立しなければ、そもそも市場に製品を流通できない。中間業者は国内におよそ1,000社以上存在し、一国一代理店制が原則である。

医療保険制度

2008年に健康保険法が制定され、2015年5月末時点で健康保険の加入率は5,600万人71.4%である。また、2,453の医療機関が健康保険の適用機関として認定されている。保険省は2020年までに医療保険加入率80%を目指している。
医療保険制度は加入者の属性によって強制加入対象者と任意加入対象者の2つに分かれている。民間企業被用者や公務員等が強制加入の対象者で給与の一定割合を保険料として負担する。強制加入には貧困者や6歳未満の子供、少数民族地域の住民も含まれており、これらの人々は政府が全額負担する。
保険料は給与から天引きされる仕組みとなっている。治療の際に使用が可能だが、健康保険の適用を受けるには保険証に記載された医療機関で診療を受けなければならない。保険証を作成する際、居住地域ごとの医療機関リストの中から一つ選ぶ方法で決定されるので、保険証一枚につき保険適用可能な医療機関は理論上一つしかないことになる。ただし、保険適用機関にて治療が困難な場合には別の病院を紹介してもらい、そこで受診すると保険適用が可能となる。公的医療保険の対象者は被用者のみであり、被用者の扶養者はカバーされない。
準貧困層や学生にも一定の保険料助成がある。その他の農業従事者や自営業者等は任意加入対象者となっている。
国民皆保険(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)を目指す上で最大の課題となっているのは、これら準貧困層、学生や任意加入対象者の医療保険への加入である。一定以下の収入しかないこれらの層にとって定額保険料を払うのは極めて困難であるため、これらの層の医療保険加入率は芳しくないのが現状である。

その他

健康意識高まる
日本と比較すると、ベトナムの健康産業はまだまだ未開拓の部分が多いと考えられるが、経済が発展していくに伴い、ベトナムでも健康を大切にするようになり運動やスポーツが流行ってきている。日本からも数年前にフィットネスクラブのルネサンスもベトナム企業との合弁で進出しており、現在国内に複数店舗を構えるまで成長している。

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