タイ ヘルスケア基礎情報

日本とアジア各国ではヘルスケアにまつわる法律や制度が全く違うため、ヘルストレンドアジアの記事の理解が難しい場合もあるかと思います。そこで理解を深めていただくために「各国ヘルスケア基礎情報」としてアジア各国の医療・介護等のヘルスケア基礎情報をまとめています。

こちらはタイのヘルスケア基礎情報です。

基礎データ

  • 人口 6,676万人(2013年)
  • 面積 513,115㎢
  • 年齢分布

0-14 years:17.41%

15-24 years:14.78%

25~54 years:46.69%

55-64 years:11.29%

65 years:9.86%

  • 一人当たりの名目GDP 5,850.30 USD(2012年)
  • 一人当たり総医療費(年間)  122USD
  • 病床密度 2.1床/ 1000人あたり (2010年)
  • 平均寿命 74歳(男性:71歳 女性:78歳)(2013年)

製薬

外資系医薬品企業の医薬品流通は、主に配送業者を通じての病院への販売、卸売業者を介した薬局への販売が中心となっている。製薬業界のマーケティングは必然的に病院が中心となっている。
今後、タイの医薬品市場は高齢化・ライフスタイルの変化に加え、医療ツーリズムの進展によって更に拡大すると言われている(2012年時34億米ドル)。政府が医療費軽減のためにジェネリック医薬品の普及を後押ししていることも市場拡大の要因であると考えられる。
医薬品の輸入は2008年より堅調な成長を見せているものの、輸出は大きく伸びていないといえる。2012年時点で輸入額884億バーツ、輸出は126億バーツであり、非常に対照的な内容となっている。内訳として抗感染症薬、心臓病薬などの需要が高い。

病院

タイには約1,000の公立病院と400の民間病院が存在する。民間病院においてはほぼ自由競争が繰り広げられており、同じ薬が他病院の何倍もする場合はよくある。また、病院の株式会社化も認められており、タイ証券取引所(SET)に上場している病院が13社もある。
2004年に開始したメディカルハブ構想によって、政府は(1)外国人に対する長期ビザの発給、(2)医療機器や薬などの製造業が国内に投資する際に投資委員会(BOI)による法人税免税などの恩典付与、(3)ベットが50床以上ある大規模病院への投資奨励、(4)チェンマイやホアヒンと言った特定地域における外国人の医療分野への投資許可を実施している。
タイは良質な設備とサービスの整った私立病院があることに加えて医療費が他国に比べて安いことが医療ツーリズムを促進している要因として挙げられる。
さらに、タイ国内にて成功を収めた私立病院は積極的な海外展開も行っており、タイの病院市場は自由競争下の元、各病院が凌ぎを削っているといえよう。2012年には253万人もの外国人が医療ツーリズムでタイを訪れた。これは政府が2004年から実施しているアジアの「メディカルハブ構想」が実を結んだ結果である。

介護

タイは2022年に高齢化率が14%を超えて高齢化社会へと突入し、2030年には20%・2050年には30%と極めて早いスピードで高齢化が進行している。高齢者の急速な増加に伴って介護関連サービスへの需要が拡大している。中でも交通渋滞の多いタイでは、居住型のサービスが人気であり、中間層からアッパーミドル層以上の需要が強いと言われている。また、同国は医療観光にも力を入れている背景もあり、ロングステイ用のリタイアメントビレッジが存在する。
日本の介護保険に相当するような高齢者のための福祉制度は未だ整備されていない。また、介護関連ビジネス事業者への政府の支援等はないが、全国各地に広がるお寺の協力を得てエルダリークラブと呼ばれる無料のデイケアセンターを運営するほか、3万人を超えるボランティア医療チームによって訪問検診やケアへのアドバイスを行っている。
バンコク市内の一部の病院では介護関連のビジネスが行われているが、家族や地域住民の結束が強いタイでは在宅介護という考えが一般的である。
介護業においても外国資本の出資比率上限が49%と定められており、最低資本金は300万バーツ(2016年1月20日現在)である。

海外進出にあたっての環境

製造業以外の事業形態での進出は出資比率50%未満の合弁会社等でなければ業務ができない。外資本の規制は出資比率要件のみとなっている。タイの医療機器市場への参入は、販売網を持っている代理店の存在が重要となってくる。医療器具の採用は、医師による判断がポイントになってくるため、代理店を通じで医師のニーズを汲み取り、それにマッチする製品を製造できるかが鍵となってくる。

医療保険制度

タイの国民医療保障は以下の3制度により、構成されている。
1. 公務員医療給付制度 (CSMBS: Civil Servant Medical Benefit Scheme)
2. 民間被用者が加入する被用者社会保障制度 (SSS: Social Security Scheme)
3. 上記の制度が適用されない自営業者等が加入する国民医療保障制度 (UC: Universal Coverage)

医療保険制度は2002年に発足し、公務員医療給付制度 (CSMBS)は財務省、被用者社会保障制度(SSS)は労働省、国民医療保障制度(UC)は国民医療保障事務局が管轄している。CSMBSとUSは財源で運営され保険負担料はないが、SSSは労使折半で保険料を負担する。UCは社会保険を適用されない全国民が対象となり、公立病院などで30バーツ均一にて診療を受けることができる(30バーツ保険と呼ばれている)。このように制度上はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(国民皆保険制度)である。但し、SCは一人当たりの予算が低く設定されているため、30バーツ制度に契約している病院はほぼ公立病院に限定されている。また任意加入であるためこの手の公的医療保障を必要としない富裕層は未加入者も存在し、民間の保険に対応している私立病院で診療を受ける人が多い。

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