2018年以降にアジア発でイノベーションが起きそうな注目ヘルスケア分野(後編)

前編では、今後アジア発でイノベーションが起こりそうなヘルスケア分野として「ゲノミクス」「バイオ医薬品」を取り上げた。

前編でも述べたように、これまでアジアは人口・市場規模や経済成長と恵まれた環境にも関わらず、アジア発でのヘルスケアのイノベーションは見られなかった。

しかし、このような恵まれた環境を背景に、アジアの人々もより良いケアを求め、投資家もアジアに注目し、リスクを負うようになっている。

後編では「ゲノミクス」「バイオ医薬品」以外にもイノベーションが起きそうなその他の3分野について記載したい。

サイボーグ

ロボット工学の未来は、ヘルスケア分野に関しては人工知能でなく、人間の脳にあるかもしれない。
科学者たちは、切断で体の一部を失った人や障害を持つ人を助けるために、人間の体の一部と同じように反射的に制御できるロボットの人体パーツを作り出す方法を模索している。

メルボルン大学の研究室から、Bionic Vision Technologiesと呼ばれるスタートアップがスピンオフした。
同社は、視覚障害者に視力を回復させる製品の商品化を目指している。その商品は、カメラ、眼鏡、外部に装着された視覚処理ユニット、及び網膜の後ろに埋め込まれる電極アレイからなる装置を使用する。また、オーストラリアの新興企業であるMonash Vison Groupは脳に直接干渉する人工眼を開発している。

他にもメルボルン大学の別の研究室では、運動を制御する脳の部分の隣の血管に電極を埋め込む技術を開発した。この技術をロボット外骨格に利用することにより、これまでの身体機能の代替、強化するために手足を使いコントローラを操作するのではなく、脳の思考によって直接機械を制御できることが可能になるという。

 スマートホスピタル

アジアの一部の国々は、ビックデータの医療サービスへの活用が他欧米諸国よりも進んでいる。
例えば、台湾は医療記録のデジタル化がアジア一進歩している。台湾国立大学病院の研究者は、大量のデータを活用し年齢、病気および病歴によって必要とされる栄養補助食品を決定するために、患者の治療記録を分析している。

また中国では、WeDoctorやPing An Insurance GroupのGood Doctorのようなヘルスケアアプリを活用し、最初の病院検索のオンライン照会から受診、受療、アフターケアまで、エンドツーエンドのカバレッジを患者に提供するために、病院経営にも進出している。これにより、包括的データを収集し、よりパーソナライズされたケアを患者に提供することができるようになる。

幹細胞

日本の科学者である山中信也氏は、人間の体細胞に少数の因子を導入し培養することによって、人口多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立する研究でノーベル賞を受賞した。武田薬品工業は山中教授率いるiPS細胞研究所(CiRA : サイラ)に10年で200億円を提供し、創薬のあり方を変えるべく共同で研究を進める。
富士フイルムホールディングスはiPS細胞を開発・製造する米国のバイオベンチャーを買収した。また、富士フィルムは人工軟骨、人工皮膚を製造・販売する子会社を持ち、再生医療に積極的に投資している。

これらの企業は、「万能細胞」と呼ばれる新たな技術を用いて、パーキンソン病から脊髄損傷まであらゆる病気への新しい治療法を試みる臨床試験を計画している。