ミャンマー政府、ヘルスケア関連規制を次々と緩和、果たしてその思惑は!?

近年ミャンマーは、2012年に外貨投資の門戸を開いて以来多くの投資が集まり、ASEAN諸国で急成長している。今年の第2四半期に、ミャンマー投資委員会(MIC)は、管轄地域の93のプロジェクトに30億米ドルの投資を許可した。

中でもヘルスケアセクターを重要視しているミャンマー政府は、5600万人の住民の健康改善を政府の重要な政策目標として掲げている。民間の投資家にとってもこの未開拓のマーケットには、多様な投資機会が存在し、「アジア最後のフロンティア」ともよばれている。

特にMICは、ヘルスケアセクターの中でも特定の保健サービス(病院サービス、医療検査サービス、伝統医療病院、私立病院)、医薬品の生産、医療機器・備品の製造及び関連研究を投資促進分野として指定している。

 

ミャンマーでは未だにマラリア、急性呼吸器感染症、下痢などが死因のトップであり、このような予防可能な基本的な医療が遅れている。また伝染病や非感染性疾患の発生率の上昇と、妊産婦死亡率が非常に高いのも問題である。医療技術の向上と病院、診療所等医療設備の整備の必要性が急速に高まっている。

また、製薬業界も重要な投資分野の1つである。現在、医薬品の多くはインド、中国、タイから輸入されているが、並行輸入や偽造品も出回り、医薬品の品質は一様ではない。オフショア製造に依存しない質の高い薬の製造や、薬の輸入や流通に対する法規制の改善が必要である。

 

ミャンマー政府はこのような問題を解決し高まる需要を満たすために、資金配分を大幅に増やすことが求められている。しかしオックスフォードビジネスリポートによると、ヘルスケアセクターにおける今年度の予算配分は前年の624 万ドルから790万ドルと12.2%の増加となった。しかしこれは前予算の5%、GDPの約1%に過ぎない。ヘルスケアセクターの開発は、引き続き民間企業への依存が続くであろう。

このように国内の医療体制が整っていない為、富裕層や特権者は、タイやシンガポール等の医療水準の高い近隣諸国で医療サービスを受けるようになっている。また民間医療保険のニーズも増加している。医療ツーリズム、医療保険等も含めて外国人投資家にとって、多くのビジネスチャンスがある。

 

ミャンマー政府も法人税減税等の投資インセンティブを通じて、ヘルスケアプロジェクトにおける資本集約的な外国投資を積極的に推進している。具体的には、インドネシアのLippoグループはFirst Myanmar Investment とパートナーを組み2015年にPun Hlaing Siloam病院を設立し、最近では三菱商事がYee Shin Holdings、Capital Diamond Star Groupと共同で90万ドルをかけてヤンゴンに300床規模の総合病院を建設中である。

しかし、投資は依然として、主にヤンゴン、マンダレー、ネピドー等の大都市に集中しており、人口の70%が住んでいる中小都市や農村部は未開発のままである。その為ミャンマー政府も海外企業の 投資を促進する為に更なる規制の緩和を進めた。

歴史的に、ミャンマーでは輸出入や取引(流通や小売)を含む一部の事業活動は、外国人投資家には閉ざされ、最近まで100%のローカル企業のみが医療機器及び医薬品の輸入・輸出と小売の必要なライセンスの資格を有していた。外資の参入は主にローカルパートナーに大きく依存していた。

2017年6月の商務省の通知により、100%のローカル企業のみに許可されていた医療機器及び医薬品の輸入・輸出と小売のライセンス規制を緩和し、100%外資企業でも特定の医療機器の流通および販売を可能にした。外国人投資家は、100%外資系企業をミャンマーで設立し、特定の医療機器を国内市場に売買し、輸入許可を得ることができる。医療機器への投資の歴史的な不足を考慮すると、この自由化により国内の医療機器を近代化は大幅に進み、医療施設の発展を見込めるだろう。

 

この法案の改正に加え、更に歓迎すべき会社法の改正も審議中である。

新会社法の草案は1世紀以上使用されてきた従来の企業法を置き換えるために程なく通過するとみられており、ヘルスケアセクターの更なる発展に大きく寄与するであろう。

現行の会社法では、1株でも外国からの出資があれば外資規制が適用される。しかし、新しい法案では35%までの マイノリティーの出資であればミャンマー内国会社とみなされ外資規制の対象外となる。これは投資形態の選択肢が大きく増えることを意味し、ヘルスケア分野を含む中小企業の成長を促進する可能性が高い。

しかし、ヘルスケアセクターの大部分は未だに規制対象のため、投資家はこれらの規制に注意を払いながら投資をする必要がある。

これらの投資緩和と海外投資の受け入れによりミャンマーの医療水準がどれだけ向上するか引き続き観察が必要である。

 

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